一般社団法人東京都食品衛生協会
〒111-0042 
渋谷区神宮前2-6-1
☎ 03-5828-7180
食中毒を起こす微生物
食品衛生あれこれ















 
    下痢原性大腸菌    感染型  
 ■     特徴  ・・・・・ 5種が存在します
 大腸菌は、人や動物の腸管に存在し、通常病原性はありません。しかし、いくつかの大腸菌に病原性を持つものがあります。これらは総称して下痢原性大腸菌(又は病原大腸菌)と呼ばれており、現在下記の5種に分類されます。
●   腸管侵入性大腸菌  腸の細胞内へ入り、赤痢のような症状を起こす。
 腸管病原性大腸菌 下痢、腹痛を主症状とする。急性胃腸炎を起こす。
●   毒素原性大腸菌 工ンテロトキシンにより、激しい水様性の下痢を起こす。
 ●  腸管集合性大腸菌  腸の細胞に付着し、エンテロトキシンを産生することにより、散発的な下痢を起こす。
 ●  腸管出血性大腸菌(O157、O111)  べ口毒素により、腹痛や血便などの出血性腸炎を起こす。
 
◆     腸管出血性大腸菌(O157、O111など)
 特徴  「ベロ毒素」を産生
 O157には「ベロ毒素」という強力な毒素を作り出す性質があります。このベロ毒素は、体内に侵入すると大腸をただれさせ、血管壁を破壊して出血を起こします。そして、腎臓に障害を与え、脳や神経にも作用して、発病してから短期間で生命を奪うこともあります。O26などもベロ毒素を作ります。
 また、感染症予防法で三類感染症にも位置づけられている。
   症状 溶血性尿毒症(HUS)や意識障害(脳障害)をおこすことも 
 まず、激しい腹痛が起こり、下痢を繰り返し、血の混じった下痢便が出るようになります。胃潰瘍などの血便は黒ずんで見えますが、この血便は真っ赤な鮮血です。ときには腎臓に害が及んで尿が出にくくなり、体がむくむようになります。さらにひどくなると、尿毒症になり、強いケイレンや意識障害を引き起こすこともあり、重篤の場合は死亡することもあります。
 
 原因食品  ・・・・・  あらゆる食品に可能性あり
  牛が主に保菌しており、牛の生食、牛レバーの生食などのほか、二次汚染によるあらゆる食品(生野菜、浅漬け)が原因となる可能性があります。
 ■   症状  ・・・・・  腹痛、下痢、発熱、おう吐、頭痛が主な症状
  潜伏期間は、腸管病原性大腸菌及び毒素原性大腸菌は12~72時間で、腸管侵入性大腸菌及び腸管集合性大腸菌の場合は1~5日、腸管出血性大腸菌O157の場合は4~8日です。主な症状は、腹痛、下痢、発熱、おう吐、頭痛などがあります。
   予防のポイント
 ● 生野菜などはよく洗い、食肉は中心部まで十分加熱してから食べる。
 ● 冷蔵庫内の食品はよく点検し、早めに食べる。 
 ● 加熱調理済の食品が二次汚染を受けないよう、調理器具は十分に洗う。できれば、熱湯又は塩素系消毒剤で消毒する。
 ● トイレの後や調理、食事の前には必ず石けんで手を洗う。
 ●  水道管直結以外の水(貯水槽や井戸水など)を飲用あるいは調理に使用する場合は、必ず年1回以上の水質検査を受け、飲用に適しているか否かを確認する。 
●  ビルなどの貯水槽の清掃・点検を定期的に行う。
 ● おなかが痛くて、下痢が続いたら、すぐに医療機関の診察を受ける。
 ● 発症した患者のいる家庭では、二次感染を防止するため糞便で汚染された下着等の取扱いに注意する。